【完】冷徹仮面王子と姫。
嬉し涙
そうこうして氷室君に入場料を出してもらい、中に入る。
そのそばからあたしは、子供のようにきゃっきゃと騒いでいた。
「マンボウ可愛いーっ!」
「……どこが」
興奮したあたしに、投げつけられた一つの質問。あたしは一瞬で平静に返る。
「え…どこがって」
マンボウが可愛い。それはあたしの中では、一種の常識のようなもので、具体的に答えられる内容はない。
どこが、どこがよ。必死に考えるほどに、正体不明の情けなさ。
「ええと、全体的、に?」
答えになっていないことは分かっていた。全体的に、とは何ぞや。
「疑問形かよ」
交わす一言一言。全部が幸せな記憶として、刻み込まれていく。
味わいかみ締める。
自然と顔がほころび、表情が柔らかくなっていくあたし。
氷室君も、いつかはそうなってくれたらいいな。
ちっぽけなようで、壮大な願望。
そのそばからあたしは、子供のようにきゃっきゃと騒いでいた。
「マンボウ可愛いーっ!」
「……どこが」
興奮したあたしに、投げつけられた一つの質問。あたしは一瞬で平静に返る。
「え…どこがって」
マンボウが可愛い。それはあたしの中では、一種の常識のようなもので、具体的に答えられる内容はない。
どこが、どこがよ。必死に考えるほどに、正体不明の情けなさ。
「ええと、全体的、に?」
答えになっていないことは分かっていた。全体的に、とは何ぞや。
「疑問形かよ」
交わす一言一言。全部が幸せな記憶として、刻み込まれていく。
味わいかみ締める。
自然と顔がほころび、表情が柔らかくなっていくあたし。
氷室君も、いつかはそうなってくれたらいいな。
ちっぽけなようで、壮大な願望。