僕に舞い降りた天使
神埼 陽呂(かんざき ひろ)。
私と同い年だった。
同じクラスになって、席が隣だったことで話すようになった。
私は学校では目立たないように過ごしていたから、唯一悩みを聞いてくれる存在だった。
陽呂は私と違って、いつもクラスの輪の中にいた。
栗色の髪と整った顔。
いつも周りの女の子の注目の的だった。
そんな陽呂を好きになるのに、時間はかからなかった。
「俺…沙希のこと守りたい。俺と付き合ってください」
そんな風に言ってくれる人がいるなんて思わなかった。
嬉しかった。
陽呂に告白されて、私たちは付き合うことになった。
陽呂と一緒にいると、家のことも、お父さんのことも全部忘れられた。
だけど、幸せは長くは続くなかった。