僕に舞い降りた天使
悲しみの色
話し終えた沙希の目から涙が流れていて…。
「ごめっ…ね。私、嬉しくて…」
「うん」
「家族、に、優しっ…く、されたこと…なかったから」
「うん」
「うそ、ついててごめんね」
謝るのは俺の方かもしれない。
「…全部知ってたよ」
「…え?」
「なんとなく、最初から記憶がないことを喜んでる気がしてた。そのうち、寝言で”陽呂”って言ってた」
「うそ…」
「だからきっと、うそついてでもここにいたい理由があって、それくらい辛い過去があるんだろうなって思った」
「そっか…気付いてたんだ…」
「それと、母さんがこないだ誰かと電話で話してるの聞いたんだ」
「電話?」
「たぶん、沙希のお父さんだと思う」
「え?」
「しばらくの間預かるって言ってたから…」
「もう、お父さんにも居場所はバレてるんだ…」
「でも、ここにいていいよ」
「え?」
「俺誰にも言わないからさ」
「大翔…?」