僕に舞い降りた天使
帰り道。
辺りはすっかり暗くなっていた。
なんとなく手を繋いだ。
「裕也君の家にはどれくらい泊まるの?」
「今日だけだよ」
「そーなんだー!いいなぁ…お泊り」
「沙希って本当に前の学校でおとなしかったの?」
ちょっと疑問。
あんだけうるさいのにうそだろって思った。
「おとなしかったよー!目立ちたくなかったし、話す相手もいなかったから…」
「ふーん…想像できねぇな。俺は今の沙希がいい」
「…ありがとぉ」
俺はもう逃げない。
沙希だって、自分の人生を生きるために親を捨てたんだ。
俺は今までの自分を捨てる。
それで、これからを生きる。
「ほら、ついた」
「うん」
「じゃあな、行ってくる」
「うん。おやすみ」
「おやすみ」