僕に舞い降りた天使


俺が泣いてる間、おばさんはずっとそばにいてくれた。


海もそうやって何も言わずにそばにいてくれてた。


やっぱり親子なんだなって思う。





「落ち着いた?」


「はい…すみません…」


あとから考えるとものすごく情けない。


「そうやって感情を出すことも大切よ。信頼している人たちには心を開きなさいね」


なんか俺の心の中…全部読まれてるみたいだ。


俺の大切な人にはもう消えてほしくない。


だから俺は誰にも心を開かない。


俺の全部を打ち明ければみんな俺を守ろうとする。



「俺はいつも守られるばかりで、大切な人ほど傷つけてしまうから…」



そうだ。


俺はいつも誰かを傷つけながら生きている。


だから怖いんだ。


これ以上誰も傷つけたくはないのに…。



「大翔君…。人を傷つけずに生きている人なんていないわ」


「え?」


「私もね、海をたくさん傷つけたわ。海が亡くなる前にね、ケンカしてたの」


そういえば…そんなこと言ってた気がする。


「結局仲直りできないままになってしまったわ」


あ…。


「後悔してもしきれないの。なんであんなこと言っちゃったんだろうって…」



< 133 / 224 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop