僕に舞い降りた天使
沙希はいつの間にか眠っていた。
起こさないように静かにベッドに運んでやった。
沙希の寝顔を見ながら考えた。
なんでお前は俺のとこに来たんだ?
生きる意味さえわからなくなっていた俺を…
なんで好きになった?
俺は海を失ってから、もう誰かを好きになることはないと思っていた。
失恋したやつが言うような軽いものじゃなくて…。
海だけが必要だった。
海が俺自身だった。
海しかいらなかった。
だけど、沙希…。
お前はまた人を愛することを教えてくれた。
お前が俺を人間らしくしてくれたよ。