僕に舞い降りた天使


HRのあと、俺は美鈴や他の女どもに囲まれ尋問された。


沙希は沙希で男どもに質問攻めにあっていた。


あいつがばかなことをすっかり忘れていた。


これは俺の計算ミス。


ちゃんと言っておけばよかった。


「大翔と一緒に住んでるなんて!!」


「ありえないよ!!」


まだ文句言ってる美鈴たち。


お前らに関係ねぇだろ。


俺が決めたわけじゃねぇし。


あいつ記憶喪失だし。


「仕方ないじゃん!!沙希ちゃん記憶喪失なんだもん☆」


ずっと横で盗み聞きしていた裕也が言った。


「「「え?」」」


「うそじゃないよ~?沙希ちゃん記憶ないから家に帰れないんだよ」


「……」


さすがに記憶喪失だと言われると何も言えないようだ。


「ホントなの?大翔…」


美鈴が俺に聞いてきた。


「知らね。あいつに聞けばいいじゃん」


素直にそうだと言えばいいのに、もしかしたら沙希は記憶喪失だと言われるのが嫌かもしれないなんて考えてる俺って…。


なんて女々しいんだ。


沙希は嫌われるような女じゃないのにな。


結局それから美鈴たちは俺に何も言ってこなかった。



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