僕に舞い降りた天使
黒い涙
ベランダから出ていくとき、沙希は怯えた目で俺を見ていた。
目を逸らしたのは俺。
あんな風に怒鳴るつもりなかったんだけどな。
なんで、こんなに余裕ねぇんだろ…。
もう3年も前のことなのに、今でも俺の時間は止まったままだ。
なぁ…”海(うみ)”
俺はいつになったら前を向いて歩いていけるのかな?
いつまでもあの場所から進めない俺をお前は…
呆れながら見てんのかな?
お前がいてくれたら…俺は…。
考えても無意味だな。
お前はもう二度と俺の前に現れることはないんだもんな。
それがたまらなく悔しいよ…。
涙が出るほど悲しいよ…。
俺の右目からは、光るものが頬を伝って流れ落ちた。