君のとなり
「…シオン、今の主神は誰なの?」


「今?さぁ…誰だろうな…」


シオンは目を逸らしながら曖昧に答えた。



知ってる

この反応は、多分…


「…どした?アスラ」


そんなアスラの視線に気づき、シオンは目を合わせた。


「なんでもないよ」


知ってるけど、言わない。

言えるけど、言ってはいけない。

そんな表情だ。


「…俺の心読んじゃった?」


そんなアスラの思考に感づき、シオンがそう聞いてきた。


「読めないよ。ただ…その表情の中にある感情が少しわかるだけ。でも、もう聞かないよ。シオンが困ることはしないから」


「……アスラ」


「だから」


「ん?」


アスラの言葉に安堵した矢先、再びアスラが言葉を紡いだのでシオンは聞き返した。







「嫌わないで」








アスラのその言葉だけが静かな部屋にこだました。
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