ー LOTUS ーⅠ
ゴトッ。
「痛っ・・。」
俺は痛みで、目が覚めた。
ベッドから落ちた所為で、
結局あの子の名前を思い出す
ことができなかった。
「あぁー、糞っ。
もう少しだったのに・・。」
悪態を吐きながら、
床の上で頭を抱え込む。
この頃何度も、
あの子の夢を見る。
でもいつも名前を、
思い出すことができない。
あの子は俺のことなんて、
覚えてねぇよ。
たった1日だけ、
連れ戻されるまでの数時間。
一緒に話して、俺に
名前をつけてくれた。
それだけだが、俺には忘れることのできない出来事だった。