ー LOTUS ーⅠ
戻らない日常
「俺も暇なんだし、
一緒に誘えよなぁ。」
少し寂しそうに言う父の横で、
母が呆れたように言った。
「じゃあ私と出掛ければ
いいでしょ。」
っと、軽く怒ってみせる。
この二人は本当にいつまで
たっても変わらない。
そんな両親を見ながら、
出掛ける準備も終わった私達は、
玄関に向かう。
「行ってらっしゃい。
気を付けてね。」
母がいつもの様に手を振りながら
笑顔で見送ってくれた。
その後ろでちゃっかり父も手を
振っているのが見える。
何となく笑顔になって、
お土産買って来るから、っと
言って二人に背を向けた。
「行って来まぁす。」
二人で声を揃えてそう言うと、
玄関を出る。
今日は二つ上の姉と一緒に
ちょっと遠出して買い物に行く
予定なのだ。