続†素顔の先輩と甘い休息
ふと頭の中で、鍵のことが浮かぶ。
昨日、沖依君から返してもらわなかったんだ……。
まだ匠先輩には、そのことも何も言ってなかったっけ…。
「た……匠先輩。」
ブレザーへと袖を通す先輩に、おそるおそる声を掛ける。
“ん?”と聞かれて、気まずさを感じながらも口を開いた。
「あの……この部屋の鍵…なんですけど、色々とあって沖依君に、と…捕られちゃったんです…。ごめんなさい。匠先輩から貰った大切な鍵なのに…。」
先輩の顔を見ることが出来ずに俯いてしまった。
先輩…驚いたかな…?
いや、それを通り越して呆れられたかな…?