続†素顔の先輩と甘い休息

振り向くと、立っていたのは……匠先輩。


ムッとしながら留羽先輩の前まで来ると、そのネクタイをグイッと引っ張った。

「ちょっ……おい！匠！！く……苦しいじゃねぇかよ…。」


ネクタイを荒々しく外して、呼吸を整えている留羽先輩を一切無視して匠先輩は私の手を握りしめた。


「少し来るのが遅くなってごめんな、翠央。」


微笑みかけられて、私は“今さっき来たばかりですから…”と慌てて答えた。


「ったく…翠央ちゃんのことになると、容赦ねぇよな、匠は。」


「留羽が油断ならねぇからだよ。今だって、お前……」


匠先輩は、チラッと留羽先輩の手に握られたネクタイを怪訝な表情で見つめた。