続†素顔の先輩と甘い休息
「いいじゃん。翠央ちゃんに、渡そうと思っただけなんだから。」
「……よくねぇよ。」
キッパリ言い放つ先輩に、もうそれ以上言わない方がいいと思ったのか、留羽先輩は“ふう…”と息を吐いた。
「じゃあ、俺…行くよ。引っ越しの準備も始めないといけないからさ。」
軽く手を振って帰ろうとする留羽先輩を匠先輩が呼びとめた。
「…留羽、色々とありがとな。お前と居ると毎日退屈することもなかった…。俺にとって、ムカッとくるのも信頼できるのも…留羽が一番だったな。」
匠先輩は、そう言って照れくさそうに笑う。
「俺も、匠と会えて良かったって思ってる。まさか匠から最後にそんな風に言ってもらえるなんて思ってなかったから、嬉しいな。」
綻ぶ笑顔は、キラキラしていた。