カレの弟
「なーぎちゃんっ!」


「なに?西門くん。」


「あっ、もう分かったんだあ~早かったね。」


「今朝先生方が話してるのをきいたのよ。」


「…亮司に聞いたわけじゃないんだ?」


「違う。亮司は…弟がいることさえわたしに話してくれてないから。」


「ふうん。まあ、そうだろうな。」


そう言い流伊くんは、わたしが座っている場所まで来ると、わたしが食べていたお弁当の卵焼きをつまんで口へと運んだ。

その一連の行動をただ見ていたわたしは

―――ほんとうに綺麗な子……、と不覚にも思ってしまった。


それが分かったからかは分からないけど、流伊くんは口の両端を上げ、

「俺に惚れた?」


言いながらわたしの唇に自らの唇を重ねようとした。



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