いっぺん死んでみる?~スケベの季節~
「旅行じゃなくて、視察調査、だし。
 しかも、僕の調子が悪くなったのは。
 調査の後。
 インフルエンザになって病院に行ったら、熱があるのに表に出され、パイプ椅子を渡され外で待たされたからだもん」

 そう、人事のように言う守に、晴香のアタマは煮えそうになった。

 最近、厚生労働省で、たばこ税の増税の話があり。

 省庁全般が巻き添えで、世間からの風当たりが強くなった。

 文部科学省としても。

 目立った仕事もせずにぼ~~っとしていたら。

 友愛とは程遠い、他の省庁の官僚達にサボっていると言われかねない。

 ここで、奈良県で卑弥呼の宮殿跡地らしい遺跡が発見された事を幸い。

 文部科学省を代表して、若きエリート官僚である守が、調査に行くコトになったのだ。

「だからと言って
 行く前から、なんとなく風邪気味で、調子悪かったんでしょう!?
 だったら、他のヒトに頼んでも良かったはずでしょうが……!」


「だぁってぇ~~」



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