いっぺん死んでみる?~スケベの季節~
「莫迦は、死ななくちゃ治らないって。
 ……試しに、いっぺん死んでみる?」

「え~~ん~~
 晴香ちゃんのいけず~~」

 口であっさり負けた、守に肩をすくめて、晴香は聞いた。

「でも、何でまた。
 守がわざわざ、遺跡の現地調査になんて行ったわけ?」

 守の代わりに行けるヒトは、他にも大勢いるはずなのに。

 クビを傾げる晴香に、守は、キラりん、と口元を光らせて笑った。

「邪馬台国は、男のロマンじゃないか?」

「……は?」

 守の言っていることが良く判らず、晴香は間抜けな声を出した。

「僕は、今まで、お金持ちになって、金のしゃちほこが乗っているような豪邸に住むのが夢だったけれど。
 雄大な歴史の流れの中では、小さな夢だったことに気がついたんだ」

 守は、きらきらと目を輝かせた。

「昔、起こったことは、現代にも通じる、未来への指標なんだよ!
 邪馬台国の卑弥呼は、特に、取り巻きに政治をまかせたりせずに。
 祭祀から、統治まで、ほとんど一人でやっていたんだってさ!」

 そう言って、守は興奮気味にがばっとベッドから半分身を起こした。



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