いっぺん死んでみる?~スケベの季節~
「情報を仕入れるのにも、パソコンどころか、電話さえない時代!
 交通手段だって徒歩しかない時代に、たった一人で国を統治する大変さってわかる?
 調べれば調べるほど、すごいな、って思ったんだ!」

 もはや、晴香は呆れていたけれど、そんなことはお構いなしに、守はしゃべる。

「今、日本ってさ。
 政権交代して、与党が脱官僚政治をするんだ~~
 何て言ってるけれど。
 ウチの文部科学省だって、結局何にも変わらないんだよなぁ。
 政治家先生は、面倒なことは全部僕ら官僚に押しつけて平気だし。
 なのに、卑弥呼ってばすげーよ。
 思わず、尊敬しちゃってさ。
 一度は、邪馬台国のあった場所に行きたくて。
 文部科学省の視察だったら、専門家に突っ込んだ話も聞けるから。
 風邪なんて無視して、頑張って行ってきちゃったんだ!」

「……それって、公私混同とかって言わない?」

「いいの!
 ちゃんと、お仕事の方もして来たんだから!
 それよかさ。
 面白い話も一杯聞けたことだし。
 インフルエンザが治ったら僕。
『邪馬台国と脱官僚』って本でも書いてみようかな?」

 案外、ベストセラーになったりして、などと守は一人で喜んでいる。

 そんな彼に、晴香はココロからあきれ果てた声を出した。
 


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