いっぺん死んでみる?~スケベの季節~
「あなたは、自分の立場ってちゃんと判ってる?」

「なんだよ!」

「守は、その、官僚のお仕事をしてご飯を食べているんでしょうが。
 政治家のヒトが脱官僚、とかって本気で始めたら。
 あなたみたいなお莫迦は、待っ先に解雇されちゃうとか思わないの!?」

「……あ」

 やっぱり、そこらへんを、全く気にしていなかったらしい。

 間抜けな顔をして固まる守に、晴香はしみじみとため息をついた。

「……やっぱり。
 本当にお莫迦よねぇ?」

 晴香に痛いところをつかれて、守は、真っ赤な顔になった。

「い……いいもん!
 それで日本が良くなるなら、僕だって今のお仕事辞めて、土を耕す職業にでもなってやるから!」

「……また、極端な話を」

「極端じゃないもん!
 理想の話をしてんだよ!
 それとも、なに?
 もし、僕がお仕事やめて。
 北海道あたりで。
 オーガニック野菜を作る農家になるって言ったら。
 もう、晴香は僕の後についてこないの?」

 守の口調は、相変わらずへらへらしているけれど、目はマジだ。



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