さよなら、天使
私の知らない所で、何かが動き始めていた。

お母さんは何食わぬ顔でテレビを見ている。

何度も電話のこと聞いてみようとしたが、怖くて聞く事が出来なかった。

何事もなく日々が過ぎた。
あいつの羽にも見慣れてきた。

おもしろい事に、あいつの羽は気分がいい時は羽が広がっていたり、眠い時にはシュンとしていたりして、あいつの気分がよくわかって、時々笑えてくる。

毎日のようにあいつに会っているけど、入学式の日から、あいつが私に話かけてくることはなかった。


「ねぇ、部活どうする?」

今は昼食の時間。屋上で直子とお弁当を食べていた。
「うーん。弓道とかかっこよくない??」
ちょうど屋上から弓道場が見えていた。

「でも、直子はバドミントンじゃないの?」

直子は険しい顔をした。
「そーだけどー、なんか違う事したいなぁって(笑)」

「じゃ一緒に弓道部入ろう!」

私たちは放課後に、早速見学に行った。

「失礼します。」

先輩達が真剣に練習している。
その中に、遠藤春がいた。
「ちょっと!春くんいるよ!」
げ。やばい。さすがに同じクラスで同じ部活はちょっと。。

「あっ、入部希望の人?」
先輩の一人が声をかけてきた。

「えーと。。いやー。。」
私は言葉を濁した。

「はい!」
直子は元気よく返事した。
すると、その声に遠藤春が振り向いた。
私達をじっと見ている。

やばい。。
せっかく今まで関わらずにすんだのに。。
直子のバカー。。
「今年は新入生の入部が少なくて参ってたのよ。私は、弓道の部長の松下早紀。よろしくね。」

「何日か前に遠藤くんが入部してくれたから、今のところ新入部員は4人ね!」

「4人??」

辺りを見渡すと、男の子がもう1人いた。

「ねぇ!優美!あの人もかなりのイケメンだね(笑)」

「ちょっとー。」
彼は姿勢がピシッとしていて、すらっと背が高く正直タイプだ。

「彼は赤井まさとくん。入学初日に入部してきたのよ。」
先輩が説明をしてくれた。
「あの二人は経験者だから、すでに的を使って練習してるけど、あなたたちは初心者だから、構えの練習から始めていくからね!」
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