さよなら、天使
「バドミントンの試合で羽なんか付ける訳ないでしょ(笑)優美、あんたよっぽど疲れたまってんだね。今日は帰ってゆっくり休んだほうがいいよ。」

「そ、そーだね。。」

また写真を見たいと思ったけど、素直に家に帰ることにした。

確かに羽が付いてたはずなのに。。

複雑な思いを抱えたまま、私は家に帰った。


「ただいまぁ。」

家に着くと、お母さんが夕食の準備をしていた。

「早かったねえ。」

「うん。まーね。ねぇ、お母さん。私疲れてるのかなぁ。。」

「はぁ?どうしたの?帰ってくるなりそんな事言い出して(笑)」

私は食卓の椅子に座り、今日の事を話し始めた。

「直子に好きな人が出来て、その人の写真を今日見せてもらったの。」

興味津々にお母さんも椅子に座った。

「それで?」

「でも、その写真がおかしくて。。」

「すごいブサイクだったとか?(笑)」

「違うよ。顔はとってもイケメンだったんだけど、その人羽付けてたの。バドミントンの試合の時の写真なんだけど。それが、おかしい事に直子は見えないの。疲れすぎて変になったのかな。私。。」

「。。。。」
さっきまでニコニコしていた母の顔がだんだん青ざめた顔になっていった。

「お母さん大丈夫?顔色悪いよ?」

「え!?あ、えっと。」
ガシャーン!!!!!
近くにあった鍋をお母さんがひっくり返してしまった。
「もうドジだなぁ。」

「ごめん。ごめん。。」

床を拭きながらお母さんは更に質問をしてきた。

「ねぇ。。その子なんて名前なの。。?」

「さぁ。聞いてないけど。なんで?」

「うん?なんとなく。。」
お母さんの顔は更に青ざめていた。

「ねぇ、私拭くから少し休んだら?」

「うん。ごめんね。。」
そう言うとお母さんは寝室に入った。

「気分悪いなら悪いって言えばいいのに。らしくないなぁ。」

お父さんが帰ってきた時には、お母さんはいつもの笑顔に戻っていた。
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