君の世界の壊し方
女の子がちらりと此方を向く。
気付かれた…?
此方をじーっと見て、人か人でないかを判断するかのように動きを待つ。
沙奈は震えて震えて、此処から一刻も早く立ち去りたいが、
今動いたら確実に殺される。
さっきの光景のように何度も刃物を突き立てられる。
そう考えると立ち去る前に動く事さえできなかった。
ゆっくり、スローモーションのように、
女の子の口が三日月形となってゆく。
――――――ヤバい!
考えるよりも先に体が動き、
来た道を全力疾走でかけてゆく。
――人通りの多いとこ、人通りの多いとこ…!
本当はそんな余裕もないのだが、追ってきているかどうかを確かめるため、後ろを振り向いた。