君の世界の壊し方
女の子は、沙奈よりも3倍ほど速く走ってきている。
それにビックリした沙奈は地面の境目につまずき、バタン!と盛大な音をたて、転んでしまった。
「った…」
痛いとか、そういう場合じゃない、逃げなきゃ…!
地面の割れ目に指を入れ、自分の体を引きずる。
もう、立つ余裕なんかない。
できるだけ遠くへ――!
沙奈の意志とは裏腹に、女の子は物凄い形相で走ってくる。
もうすぐ、本当にもうすぐに追いつかれ、殺されてしまう…
女の子は、
走りながら包丁を振りかざし、その勢いで沙奈を刺そうとする。
「…やっ……!」