【完】アップルパイ。~天国ノ君へ~
「…こんな事私が言う必要なんてないって分かってます。でも…」
桜は申し訳なさそうな目であたしを見る
「だから何よー!」
あたしは眉を八の字にまげてそういった
「…先輩は再婚とか考えてないんですか?」
桜の言葉はあたしの胸にささった
再婚なんて考えたことなかった。
「再婚してもいい」
そう拓海は言ってくれたけど、
でも再婚するつもりなんて全然なかったんだ
だって、
拓海以外に愛する人なんて出来ないと思ったから
実際、拓海が死んでしまってから好きな人なんて出来なかった
出会いがなかったわけじゃない。
その気になれなかっただけ。
そんな自分の考えに甘えてただけ。
ただ、桜の言葉とともにある人の顔が頭に浮かんだ
それは…
矢野さん…
祐樹だった。