【完】アップルパイ。~天国ノ君へ~
「…先輩?」
桜があたしの顔を覗き込んだ
「え…あ、何?」
「だから再婚のことですよ。拓海さんの事忘れられないとは思いますけど、でも…子供には父親が必要だと思うんです」
桜は真剣な目であたしを見た
「そうだね。あたしもそう思うよ。でも…いい加減な人を父親にしようだなんて思わないし、第一好きな人がいないもの。結婚するなら好きな人としたい」
あたしも真剣な目でそう答えた
「桜、あたしね気になる人が出来たの」
桜はキョトンとした目であたしをみた
「…本当ですか!!!????」
「本当よ」
動揺する桜にあたしは淡々と答えた
桜が「再婚したら?」とかいったくせに…
「どんな人ですか?」
「…おっちょこちょいかな?」
「…拓海さんとは正反対なんですね」
桜の中で拓海は「しっかり者」らしい
「拓海だっておっちょこちょい…っていうか、不器用な人だったよ」
「先輩にだけ見せる姿だったんですよ。」
そういう桜の顔は笑顔で満ち溢れていた