【完】アップルパイ。~天国ノ君へ~
それから毎日朝は訪れて、夜は訪れた。
拓海が死んだときは、拓海が死んだと同時に世界も終わったような、
そんな感覚だった
でも今は朝が、夜が待ち遠しく感じる
朝起きると横には愛しい人がいて、夜はその人の帰りを待つ
心愛はいつも「パパは?」と祐樹の帰りを待っていた
それでも拓海のことを忘れた訳ではないらしい
部屋の片隅に飾られている拓海の写真を「パパ!」といっていつも指差していた
良かったね拓海。
それからちゃんと拓海の撮ったMDを祐樹に渡した
祐樹はMDを受け取った後部屋に戻り1人で聞いたらしい
「これはオレに送られたものだから」
と内容は聞かせてもらえなかった
でも祐樹の目が赤くなっている事に気づいた
内容は凄く気になるけど私はきかないことにした
心愛にも渡そうと思うけど心愛が16歳になるまで黙っておくことにした
そのMDはいまでも私の部屋の引き出しに眠っている
祐樹と出会わせてくれたのはきっと拓海だね。
ありがとう。