【完】アップルパイ。~天国ノ君へ~

それから毎日朝は訪れて、夜は訪れた。



拓海が死んだときは、拓海が死んだと同時に世界も終わったような、



そんな感覚だった



でも今は朝が、夜が待ち遠しく感じる



朝起きると横には愛しい人がいて、夜はその人の帰りを待つ



心愛はいつも「パパは?」と祐樹の帰りを待っていた



それでも拓海のことを忘れた訳ではないらしい



部屋の片隅に飾られている拓海の写真を「パパ!」といっていつも指差していた



良かったね拓海。



それからちゃんと拓海の撮ったMDを祐樹に渡した



祐樹はMDを受け取った後部屋に戻り1人で聞いたらしい



「これはオレに送られたものだから」



と内容は聞かせてもらえなかった



でも祐樹の目が赤くなっている事に気づいた



内容は凄く気になるけど私はきかないことにした



心愛にも渡そうと思うけど心愛が16歳になるまで黙っておくことにした



そのMDはいまでも私の部屋の引き出しに眠っている



祐樹と出会わせてくれたのはきっと拓海だね。



ありがとう。


< 84 / 87 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop