アナタハシニマシタ2
「そういえばあなたは、岸野さんを探しているような事を言ってましたけど?」




下校中の道すがら愛理からこんな事を聞かれた。先程の屋上で口から出てしまったらしい。




「うん。探偵さんと一緒に行くんだよ。場所はたしか長野だよ」




「長野ですって!?岸野さんはお金持ちとは聞いていましたが、別荘まで!?」




驚きで愛理は大きい声が出てしまった。急いで沙良が口を塞ぐ。




「駄目だよ。そんな大声出しちゃ!一応秘密なんだから!」



秘密なら話さなければいいのに。とも思ったが、自分の事を仲の良い友達だと思ってくれているようで悪い気はしなかった。




「それでその探偵さんとやらは女性ですよね?」




愛理が当然のような聞き方をしてきた。沙良はすぐに首を振って否定した。




「勇さんと言って、凄く強くてかっこいい人なんです!将来は名探偵ですって」




後日談だが、沙良は嘘をついておけばよかったと後悔する。




愛理の顔が暗くなっていた。今まで冷たい表情だったが、今、更に冷たくなった。




「私も行きますわ」




「へっ?」




沙良は聞き返す。




「男女二人っきりで行かせません!私はあなたをしっかり守ります!安心しなさい。私は護身術を身に付けていますから。今すぐその探偵に会って許可を貰わないと!」




愛理は沙良を引っ張って修のいる探偵事務所に向かった。
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