アナタハシニマシタ2
そう言うと優次は乱暴に通話を切って、修に手渡した。



何が起きたのかまったく分からない修とは対照的に、表情豊かな彼は何かを期待して待っているらしい。



「…おかえりなさい。優次さん…」



どうやらその言葉を待っていたらしい。子供のような笑みを浮かべて、



「ただいま。早めに依頼が終わったから帰ってきた」




三日ぶりの帰宅も相変わらず、といった感じだ。その様子だとうまく行ったようだ。



「木村もひでえことしやがる。明日の決意の出発に水を刺すような真似しやがって…」



「木村さんは俺や沙良さんたちの身を案じて言ってきたんだと思います」




優次はその場にどっかりと座った。修は事の次第を話す。



「…なるほど。そりゃあいつも心配するわな。そこまで執念深い奴が邪魔をしてくればかなり面倒だな…」




「やっぱり中止した方が良いでしょうか?」



「いや、逆に二人をバラバラにしておく方が危険だな。後の方は分からないが、沙良って子は知られているんだろう?だったらお前が近くにいた方が安心だろう」



「分かりました…。出来る限りのことをやってみます」



それを聞いて満足したのか、優次は笑った。



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