アナタハシニマシタ2
ここなら東京から程よく離れていて、かつ多忙な両親の目の届かない場所である。セキュリティも家族には通用せず、電話も出なければいい。



まずは軽井沢に向かおう。岸野家所有の別荘が二つあり、可能性的にも三分の二。場所をメモして今日にでも行きたかったが、生憎優次が外出中。おまけに鍵を持っていくのを忘れたため不用心にはしていけない。



考えてみたら、交通費もない。金は全て優次が管理しているのでやはり彼が帰宅して次の日にならざるを得なくなった。帰宅は明後日三日。出発は四日になる。



それまで修は事務所待機になってしまった。不本意ではあるが先立つ物も事務所のセキュリティも必要だから仕方ない。



今回の事件に大きく貢献してくれた川崎沙良にメールする。内容はもちろん結果報告だ。この時間は授業中かもしれないが、お昼休みの時間も知らないため今のうちに送る。



メールはすぐに帰ってきた。返事はとんでもないものだった。



『もちろん連れていってくれますよね?』だった。



家出事件に大きく貢献してくれた沙良ではあるが、年頃の少女である彼女と二人で行くのは果たして両親が許してくれるだろうか。
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