どくんどくん ~SPRING SNOW~
第16章~君の元へ~
入道雲がモクモクと空に広がっている。

どんどん膨らむ僕の不安みたいに・・・。


6時間目の授業、空を見ながら考えてた。

転校してしまった以上、どうやってこの遠距離恋愛をうまくやっていくかって事。

卒業したら、近くの大学や専門学校に行って、一人暮らしをしよう。

それまで、お互いの気持ち、信じあえるかな。

昨日のユキの電話、元気なかった。

でも、今までのように、頭ポンってしてやることができない。

何があったかと聞いても、何にもないと言われると、どうしようもなくなるんだ。

僕のこと、まだ好きでいてくれてるのか。


放課後、ユキと桜を見たあの公園へ行こう。

思い出ばっか追いかけてる僕は、とても情けないだろう。

でも、寂しさと不安を紛らわす方法が他に見つからない。


公園には、強い風が吹いていた。

変わらない景色。

強い風が僕の不安を吹き飛ばしてくれればいいのに。



いつまでもうつむいてばかりはいられない。

風が僕の背中を押す。

やっぱりここに来て良かった。

少し元気が出た僕は、笑顔で坂道を自転車で下った。
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