どくんどくん ~SPRING SNOW~
目が覚めるまで、僕は夢なのか現実なのかわからないけど、ずっとユキに話し掛けてた。

飛ばされてる時間がそんなに長かったとは思えないから、夢なのかな。

死にたくないって本気で思ったよ。


気を利かせて、家族も僕とユキ二人きりにしてくれた。

いろんな話をした。

将来の夢、新しい高校の話、ゆうじと大野君の路上ライブの事。


僕はその時始めて、ゆうじを歩かせたい、という夢を語った。

ユキは、すごく感激してくれてた。


「リハビリの勉強をしたいって考えてたら、自分がリハビリ受ける立場になっちゃったよ。」

「いい機会じゃない?患者さんの気持ちが理解できるし、いい経験よ。」

ユキは、優しく僕の足に触れた。


まだ動きにくい足。

首も回らない。


僕、元のように戻れるのかな。

少し不安になり、ため息をつく。


「大丈夫だって。時間がたったら治るから。リハビリ頑張ったら、すぐ歩けるよ。」


以心伝心。

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