どくんどくん ~SPRING SNOW~
「うん、もう大丈夫。こんな時間にどこいくの?」

すっかり涙が消え、彼女は笑顔に戻っていた。

「あ~あの~、なんか、あの、委員会が、あ!そうそう文化祭の委員会の集まりがあってさ。」

僕はしどろもどろになってる自分を殴りたかった。

「え?私も文化委員なの!!偶然だね。音楽室って遠くて迷っちゃいそうだったから、一緒に行こ!」

ひゃあ~~~~!!夢のようだった。

山田よ、感謝!!文化委員万歳!!!!

勇気を出すんだ、ハル!!


「あ、うん。そっか~文化委員になったんだ。隣のクラスだし、また今度委員会あるとき迎えにいこっか。あ、でも友達と一緒に行くのかな?」

僕は一学期分くらいの勇気を使ってしまったかもしれない。

君の笑顔って勇気が湧いてくる。

今なら僕は、なんでもできる気がする。

僕は、勇気が出せた自分を褒めてやりたかった。

「いいの??他のクラスに友達とかいなくて、私方向音痴だから一緒に行ってくれたらうれしいんだけど。神宮司君こそ、友達いっぱいいるのにいいの?」

「良いに決まってんじゃん!なんか困ったことあったらなんでも言って。なんなら、絵とか教えようか??」

僕は冗談まで言えるようになっていた。この数分で成長した僕。


「・・・あはははは。んくくくくく・・・」

爆笑してる春瀬さんを僕はずっと見ていたいと思った。
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