どくんどくん ~SPRING SNOW~
「おはよ~ハル!今日も暑いね。」

クラスで一番のうるさい女子、山田。

「おお!お前がいるとますます暑いよ。」

こうやって山田をからかうことが日課になってるんだけど、最近どうやら僕を好きなのかもしれないという悪い予感がする。

「も~ハルったら。そんなことばっか言っていじめないでよ。あんた私以外の女子とはほとんど喋んないのに、私とはラブラブだよね。」

ほら。またこんな発言・・・。

がっちりした体格だから胸もでかくて、やたらと強調してる。

最近、上目使いやさりげなくのタッチが恐ろしい。


「はいはい。」


毎朝のこんな会話に、たまに癒されたりしてる自分もいて。


こうして、僕の一日が始まる。

なんとなく朝食を食べ、なんとなく登校し、なんとなく授業を受ける。

大きな悩みもなければ、大きな夢もない。

毎日楽しいけれど、何かピリっとしたスパイスが欲しい今日この頃。


最近のブームは、机に自分の名前を彫ること。

「HARU 」って。

何年もの歴史の詰まったこの落書きだらけの机に僕の名前を刻む。



両親に感謝するよ、この名前。

幼稚園の頃からみんなが呼んでくれるこの名前、自分でも気に入ってるんだ。

昨日は、「HARU」の「HA」まで彫った。

変化のない毎日。

何かに向かってがむしゃらになることもなく、涙するほどの感動もない。

中学時代のあの熱い汗や涙はどこへ行ってしまったのだろう。



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