どくんどくん ~SPRING SNOW~
「ごめんね、神宮司君。そうじが長引いちゃって・・・!!」

ハアハアと息を切らせて、春瀬さんが走ってくる。

「いいよいいよ。走ってこなくていいのに!僕には、変な気を遣わなくていいから!」


なんだよ、このセリフ・・・。彼氏気取りの自分のセリフに赤面する。


「ありがと・・田村君から伝言聞いたんだけど、今日委員会終わった後、私空いてるよ!」

その時、シンの意味深な笑顔の意味が理解できた。


「え?何?シンの奴、なんて言ってた?」 


「神宮司君が、放課後わたり廊下で待ってるって事と、委員会終わった後用事なかったら一緒に帰ろうって。」

シンの粋な計らいに感謝すると共に、ひっかかってくれた春瀬さんにも感謝した。


「あ・・ああ、そう。そうそう!駅前にできたケーキ屋のケーキをおみやげに持って帰りたいんだけど一人で入るの照れちゃって・・あ、、っていうか、あの・・もっとゆっくり春瀬さんと話したいなって思って・・。」

君の真っ直ぐな目に嘘は付けない。


「私もそう思ってた。あ、ケーキじゃなくて、神宮司君と話したいなって。ケーキ屋さんも実は行ってみたかったんだけど・・」


まさか、君とこんな会話ができるなんてね。完全な片思いだった僕の恋は着実に前進していた。


夢のようだった。

音楽室につくまでの時間、5分くらいなんだけど僕らはお互いの事をいっぱい話した。

住んでる場所、仲の良い友達、どこの中学だったか、なんの部活だったか等。
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