どくんどくん ~SPRING SNOW~
『ピンポーン』

誰も出てくる気配がない。

もう一度鳴らす。

『ピンポーン』

・・・すると、玄関から聞き覚えのある懐かしい声がした。

「はいは~い。どちら様ですか?」 

ゆうじのお母さんだった。僕を覚えているのだろうか。


「あら??ハル君じゃない?久しぶりねー!!わざわざあの子に会いに来てくれたの?」

おばさんの気さくな対応と、僕を覚えててくれたことに不安が消えた。

「・・・はい。ゆうじ君はいますか?」

「ちょっと待ってね。呼んでくるわ。」

おばさんは小走りで家の中に入っていった。

玄関にきれいな花が植えてある。

サッカーボールが転がってる。

なんだかほっとした。



ゆうじは今幸せなんだろうな、と単純に安心した僕だった。

「ハル君、ごめんね~。ちょっと公園で待っててくれる?着替えてから行かせるから。」

おばさんは、昔よりかなり痩せていた。
< 78 / 206 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop