テーブル
aperitivo ―高田馬場
「おはよーございますー」

朝7時半前。
裏口の重たい戸を開けて、深夜帯の荻原さんに挨拶をする。
牛丼の匂いに全身を包まれて、ああ、今日も仕事だ、という気分。
「おーす」
荻原さんのハイテンションな声。
この人はいつも元気だ。
「今日も疲れたよー、早く帰りたいなぁ」
必ずこの台詞を大きな声で言う。
お客さん、いるんですけど…。とは言えない。

この店でバイトを始めて、1ヵ月が過ぎた。
人見知りがある私も、なんだかんだで馴染んできた。
牛丼屋の仕事も思ったより楽しい。
嫌ならすぐに辞めよう、という気マンマンで入った割に、週3日のバイトの日が楽しみになってきた。
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