暗黒時代
「な?悪いだろ?」
「…どうだか。俺は、70点前後だったけど…このテスト、難しく作られてて、平均全部40点前後って聞いたぞ」
「え…?」

一輝は目を丸め、沙華の方をぎっと見つめた。

平均の2倍の点数を取り、応用の問題も取れた。
それなのに、自分だけが学年主任に呼び出され、一番嫌気がさす兄との比較話をされた。
どうして自分は、周りの人と扱いが違うんだ、
と、一輝は思った。

思ったと同時に、今まで無気力で考えていた頭がすぐに冴える。
そして、妙に腹立たしくなる。
その怒りを、一輝はまず担任にあてた。

「先生、何で俺ばっか、1対1で話されるんですか!この点数なのに!」

一輝は、立っていた恩と沙華を押し退け、小野寺のいる教卓に3枚のテストを叩きつくるように置いた。
あたりは、一瞬にして静まり返る。

小野寺の方は、
「何言われたんだ?俺も内容聞かされてなかったんだけどさ」
と、友達感覚で、それも流すようにしゃべった。

一輝の怒りは、頂点へと達した。

(なんだ、この先生は!こっちは真剣になって話してるのに――!)
< 10 / 14 >

この作品をシェア

pagetop