恋、時々雨
「やっぱ無理」
最終的に、口から出てきたのはこの言葉だけだった。
すべてをぶち壊す言葉。
やってしまった、と後悔する反面、すっきりとした気分になった。
「ごめん、約束だったのに。
でも、やっぱり無理だ」
両親を見れば、放心状態で俺を見つめている。
果奈美さんはぴくりとも動かず俺を見ていた。
「俺行くわ」
「待ってください」
立ち上がろうとした俺を、果奈美さんがぴしゃりと呼び止め、とどまらせる。
「冷静になって考えてみてください。
私となら、お金も将来も、全部手に入るんですよ?」
「うん。別に俺はいらないよ」
「…っ」
「欲しいものは、全部自分の手で捕まえる」
どんなに君と重ねても
(やっぱりなるちゃんは
なるちゃんで一番だから。
…だから、)