恋、時々雨
「はぁ、」
「反則だよ、なるちゃん」
余裕のなさそうな顔で笑ってからもう一度私の腕を引いて、強く抱き締める。
「ねぇなるちゃん」
「っ…何?」
がっちりと、1ミリの隙間もないくらい強く抱き締められながら、甘い声が耳元で囁く。
「好きだよ」
「……うん」
夢のようだと思った。
私は鈴木が好きで、鈴木は私が好き。
文字にするのは簡単だけど、現実にはすごく難しい。
「同情じゃないのも、ちゃんとわかってたよ」
「うん」
腕がほどかれて、代わりに至近距離で見つめられる。
「…もっかいしていい?」
「……うん」
こんな距離で、そんなことを言われたら、頷かずにはいられない。
わかってやってるな、鈴木のやつ。
そう思いながらもゆっくりと目を閉じた。
つまりは幸せってこと
(大好きだよ)