恋、時々雨
「おーい」
「え、あ…」
目の前で手をヒラヒラさせる鈴木が目に入って、はっと我にかえる。
「まあそういうことだから。
考えといてね」
「ちょっ…!」
頭にぽんと手を乗せてから軽快にあたしの前から去っていく鈴木。
あたしは待って、とも言えずに意味がわからないまま教室の一角でぼーっとする。
わけわかんない。しかも言い逃げ?
しかも考えといてね、って何を考えろっていうのよ。
始業のチャイムがどこか遠くで鳴っているような気がした。
恋はそう、いつだって
(突然やってくるものなのです)