【完】最期の嘘
美恵、きっと何か感づいた。
礼治はそんな美恵の思考でさえ、見透かしていた。
美恵は考えている時、癖で髪の毛の右側をかき上げる。
長い付き合いである。それくらいの癖は知っている。
「そういえばさあ礼治、優太さんが髪の毛短くして栗色に染めたの見た?昨日偶然楽器屋で会ってビックリしたんだけど。」
「あー、俺も、染める前、短い姿見た。」
礼治は表情一つ変えずに、砂糖とミルクを信じられないくらい入れたコーヒーを飲む。
優太さん、髪型、変えたんだ…
優太への気持ちがまだ薄れることなく残っている汐にとって、そんな些細な情報でさえ心を動かすものであった。
礼治はそんな美恵の思考でさえ、見透かしていた。
美恵は考えている時、癖で髪の毛の右側をかき上げる。
長い付き合いである。それくらいの癖は知っている。
「そういえばさあ礼治、優太さんが髪の毛短くして栗色に染めたの見た?昨日偶然楽器屋で会ってビックリしたんだけど。」
「あー、俺も、染める前、短い姿見た。」
礼治は表情一つ変えずに、砂糖とミルクを信じられないくらい入れたコーヒーを飲む。
優太さん、髪型、変えたんだ…
優太への気持ちがまだ薄れることなく残っている汐にとって、そんな些細な情報でさえ心を動かすものであった。