【完】最期の嘘
私の行動が、礼治さんや、礼治さんの周りの人を傷付けてる…!



汐はそう自覚し、奥歯を強く噛み締めた。



優太に玩ばれ、心のどこかで自分が一番可哀相だと思っていた。



けれど、礼治はずっと自分を愛してくれたのに、私は応える努力さえしなかったのだ。



一番辛いのは、間違いなく礼治。



「……分かりました。私、もう、礼治さんと関わりません。」



本当に、覇気の小さな声だったが泣くことなく言う汐。



「ゴメンね汐ちゃん…。私、酷いこと決断させた。汐ちゃんだって辛いのに…。」



汐は、誰よりも仲間想いな美恵の言葉に首を横に振り、なんとか笑顔を向けた。
< 147 / 230 >

この作品をシェア

pagetop