【完】最期の嘘



「おい、あんたの家、俺の実家に近かったよな?送ってってやるからバイク取って来るし、待っとけよ。」



ハイジは夜でも明るい大通りに面した場所に汐を待たせ、バイク置場に向かう。



片手には携帯電話。



ハイジは通話ボタンを押し、ある人物に電話をした。



『もしもし。』



「もしもし。俺、暁のハイジですけど。今から少し大丈夫ですか?今から言うところに向かって下さい。」



ハイジは優太が返事をする間も作らず、汐を待たせている場所を言い電話を切る。



俺から、優太さんとあいつへの優しい嘘のプレゼントだ。礼治踏み台にしたんだから、幸せになれよな。



ハイジは心の中でそう言い、二輪車に跨がりエンジンをかけた。
< 205 / 230 >

この作品をシェア

pagetop