【完】最期の嘘
ハイジから電話を受けた優太は、本当は汐がまだ近くにいるはずだから探したいのだが、指定された場所へ向かう。



しかし、もしかしたら道中に汐がいるかもしれない、と辺り一帯をキョロキョロと見回した。



けれど汐の姿は見当たらない。



やっぱり…会いたくてもそう簡単にはいかないよな。



優太は現実の壁にぶつかり、ハイジに指定された場所に出る角を曲がった。



道を曲がった瞬間…身体が動きを止める。



「汐……ちゃん。」



50メートル程先、優太が望んだ愛する女の姿がそこにある。



ハイジが準備した粋な計らいである。
< 206 / 230 >

この作品をシェア

pagetop