【完】最期の嘘
お互いの温もりがまだ残る二人。



しかし、そんな二人に、都会の雨が降り注ぎ始めた。



「うわっヤベー。汐ちゃん、とりあえずファミレス入ろ。」



「えっ!あ…。」



汐の返答を聞くことなく、優太は汐を引っ張り近くのファミレスまでダッシュする。



雨の降る都会の街を駆け抜ける優太と汐。



先を走る優太の細長い背中を見つめたまま走る汐は、少し嬉しくなってくすっと笑った。



その小さな笑い声は雨の音に掻き消され、汐だけの耳に響いた。
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