【完】最期の嘘
ファミレスに入ると直ぐさま持参していたニット帽とサングラスをかける優太。
外は暗がりで気付かれないが、やはり店内では注意が必要である。
喫煙席に座った二人は、メニュー表を手に取り選ぶ。
「あ、俺、チョコミントアイスにしようかな。」
「え…あ、じゃあ私も同じのにします。」
汐の相変わらずの引っ込み思案な感じに、優太はふっと微笑んだ。
「あの…何か?」
「いや、初めて会った日、トンカツ定食頼んだ感じと似てんなって思って。」
いつまでもクスクス笑う優太に、汐は初めて出会ったあの日と変わらず首を傾げた。