【完】最期の嘘
人間は、必ず嘘をつく生き物である。
その嘘は、大まかに二種類に分けられる。
一つは自分のための、欲望に包まれた嘘。
もう一つは相手を想う、優しい嘘。
この二つは、一見相容れないものであるが、実は大きな共通点を持ち合わせている。
それは、どちらを使っても、誰かを傷付けるということだ。
その『誰か』は、他人とは限らない。
礼治のように『誰か』が『自分』である可能性だって十分ある。
人は素直なばかりではいられないのだ。
しかし、ここ一番というときに、素直になることこそ、幸せに繋がるのかもしれない。
それは、汐と優太の、距離にしてゼロセンチ
重なった二つの影が、物語っているようだった。
end