【完】最期の嘘
翌朝、汐が目を覚ますとベッドには既に優太はいなく、昨晩のあれは夢だったのかもしれないと思える。
しかし、情事後の独特の下腹の鈍痛が、現実だったと物語る。
携帯電話を見ると、メール受信の緑色のランプが光っていたため、汐は携帯電話に手を伸ばした。
『これからツアー回りだから先に行くね。
冷蔵庫にホットケーキ作ってあるから、良かったら食べてな。
汐ちゃんは身体細いんだから、俺がツアーから戻るまでに少し太っとけよ。』
メールは優太からで、絵文字もないこんな内容。
汐は文面から優太の優しさが伝わり、思わず頬が緩んだ。