and I love you
リビングに行くと、置手紙があった。


母さんはパートに出ているらしい。



『ミサへ
 換えのヒエピタおいときます。

 お弁当作っといたんだけど、無理して食べなくてもいいから。
     
     美香』



置手紙を持つ手がふるえる。


美香の字で、美香の言葉で、俺に宛てての手紙がココにある。


どうかこれだけは夢ではありませんように。




そっと弁当箱のふたを開けると俺の食欲は興ざめした。


ほとんどが冷凍食品だった。



美香が手がけたものは、俺の推測、おにぎりと、玉子焼きと、ポテトのフライだ。


ポテトのフライなんか、いびつな形をしている。



そっと口に運ぶ。



美香の味。



「うまい。」


ポツリとつぶやいた。


この言葉が美香に伝わってればいいのに。




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