ラブハンター
風呂から出て、よっさんにビールを出した。



「俺も飲む」

「俺、明日も仕事」

「1本ぐらいいいじゃん」



とりあえず、よっさんは俺の本音を言える唯一の人。



悩みや不満はこの人に話す。



「仕事どう?」

「普通」

「よかった、何にもないのがいちばんだからね」

「お前はなんかあったな?」

「ん~…、何のために生きてんのかわかんない」

「前に進め。過去は過去。過ぎたことはどうあがいても変わらねぇ」



わかってるつもりではいるけど、本当にわかってるのかは謎なとこ。



俺はどうしたら前に進めるんだろう。



「最近ケントが楽しそうだな」

「どの辺が?ケンの笑った顔なんて見たことねぇよ」

「いや、あれもなんかあったな」



よっさんはつくづくすごい男だと思う。



俺もよっさんを見習おうかな…。



「やりたくねぇ仕事って、実際どうなわけ?」

「やってみたら楽しかったりすんだよ」

「そういうもん?」

「新しいこと、始めてみろよ」



新しいことねぇ~…。



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